2025.08.04
経肛門的洗腸療法について①

皆様こんにちは、松島病院 紅谷です。
これまで、生活習慣やホルモンの影響による便秘についてお話ししてきましたが、
病気やケガによって起こる便秘もあります。その原因の一つが脊髄障害です。
脊髄とは、脳からつながる太い神経の束で、脳からの指令を全身に伝える(身体を動かす)役割と、外部からの情報を脳に伝える(温冷や痛みを感じる)役割があります。
例えば交通事故や転落などの外傷によって脊髄を損傷すると、神経の伝導路が断たれて運動機能の低下や感覚障害が生じます。
排便に関しては、便が直腸内にたまっても便意を感じなくなり、肛門をゆるめる機能が働かなくなることで便秘になったり、便失禁(便がもれる)が起こりやすくなります。
脊髄障害に伴う排便障害は、下剤での調節のみでは改善しない場合も多く、毎日摘便が必要だったり、排便に2~3時間かかってしまうこともあります。
今回は脊髄障害に伴う排便障害についてお話しました。
次回は脊髄障害のある方の難治性排便障害に対して行う治療の一つ、経肛門的洗腸療法についてお話していきます。
以上
紅谷 鮎美