2025.06.16

紅谷先生が教える  女性の便秘について

皆様こんにちは、松島病院 肛門科 紅谷です。

今回は、肛門科でみる患者さんの女性と男性の特徴の違いについてお話します。

当院に受診する患者さんの女性と男性の割合は、だいたい半分ずつくらいです。

まず女性と男性で違うのは、お通じについてです。女性は若い頃から便秘の方が多く、高齢になるにつれて男女とも便秘になる方が増えていきます。

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高齢になると、運動量や水分・食事の摂取量が減ります。さらに、大腸の動きが低下したり、腸内細菌にも変化が起こって便秘になりやすくなります。

では女性はなぜ若い頃から便秘が多いのか?

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原因として、女性は骨盤の広さや腹筋の弱さなどで排便しにくい傾向にあることに加えて、ホルモンが影響します。

女性ホルモンの一つである黄体ホルモン(プロゲステロン)は生理初期や妊娠中に分泌量が増えるホルモンです。この黄体ホルモン(プロゲステロン)は体内に水分や栄養をためこんで基礎体温を上げたり、子宮の収縮を抑える働きがあります。

これは妊娠を維持するためには重要ですが、便にとっては最悪です。水分量が減って便が硬くなり、さらに大腸のぜん動運動が抑えられるため、便が出づらくなってしまいます。

生理の場合、生理中は黄体ホルモンが減って便秘が解消されることが多いですが、妊娠中はこの働きが維持されます。

それと、無理なダイエットなども便秘の原因になりますね。

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便秘で悪くなるのがいぼ痔です。強くいきむことで痔が腫れます。妊娠中は血流量が増えているのでさらに痔が腫れやすく、出産で飛び出てしまうわけです。

出産のときにいぼ痔になり、気になりつつ子育てに追われ、ようやくひと段落したところで肛門科を受診される、なんて患者さんも多くいらっしゃいます。

大切なのは、放ったまま悪くしないこと。体の中で起きていることなので調整しきれないことはありますが、日々の食事や生活習慣、薬で良くしていくことはできます。悩んだらまずは病院を受診してみてください。

紅谷 鮎美